つかずはなれず

特別なことなんて何もないよ

BURNOUT SYNDROMES『檸檬』

 先日買ったBURNOUT SYNDROMESの1stフルアルバム『檸檬』を夢中になって聴いています。正直自分がここまでハマるとは思わなかった。こんなにカロリーの高い音楽を聴いて喜ぶなんて10代に戻ったみたいだ。このアルバムを聴いて俺は高校時代のボカロばっかり聴いていた頃を思い出した。あとこれ聴いたおかげで檸檬と漢字で書けるようになりました。
 それにしてもすごい詰め込み具合。クラシックの旋律で一曲を組み立てたり、曲中に台詞を挟んだり、カントリー調の曲にラップを取り入れたり、かと思えばどストレートにギターロックをかましたり。やりすぎだろと言いたくなるくらい、彼らの音楽的アイディアと色鮮やかな感情で形作られています。そんなアルバムの端々から感じられる青臭さ/若さはもはや暴力的なほど。その若さ全部を使って、全力でこしらえたのがこの『檸檬』なのだろうと思う。これはCDショップの片隅でひっそりとその時を待つ爆弾。

檸檬(初回生産限定盤)(DVD付)

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  アルバムを再生して最初に聴こえてくるのは「雨」の音とクラシックの旋律。一曲目からなんて変な曲だろうか、しかしいつの間にかワクワクしている。そんな胸の高鳴りとリンクするように太くビートを刻む「Bottle Ship Boys」を経て、その高揚感は「FLY HIGH!!」で一気に弾ける。まさに今、ってところに置かれたこの曲、彼らの歌う青春が爆発する瞬間がここにあります。この並びが精緻に計算されたものか、直感的なものかは分からないけれど、俺はこの最初の3曲でもう完全に虜でありました。かっけー。続けざま「アタシインソムニア」「エレベーターガール」(この曲の最後の音が、まるで落ちて砕ける宝石のようで素晴らしいのだ)とエッジの効いた曲で陰影の濃い情景を歌うと、「ナイトサイクリング」では一転青春ど真ん中。夜を駆ける自転車二人乗り。あーずるい俺もこんなことしてみたい。とにかく、どこを切り取ってもむせ返るほどのエネルギーに満ちてる。

 アコギを用いることで、それまでの雰囲気とは打って変わって柔らかくなる「君は僕のRainbow」「君のためのMusic」を挟み、有り余ったエナジーを再び全て爆発させるように「ヒカリアレ」へ。クソ不器用にも感じられるこのド直球さ、清々しさが好きなんです多分。「FLY HIGH!!」への流れといい、シングル曲の配置がとてもいい。この後「人工衛星」、「エアギターガール」とエレキギターをジャキジャキ鳴らす曲が続くあたりがカロリー高いと例える所以であり、好きな曲全部詰め込んでしまえという青臭さを感じるところでもあり、彼らの良くも悪くもあるところだと思うのですね。俺はいいぞいいぞもっとやれと思うのだけど、「人工衛星」あたりでもうお腹いっぱいって人もいるだろうなぁと。「タイムカプセルに青空を」を高らかに歌えることや、「Sign」を最後に置くことからもそうした青臭さがにじみ出ているように思う。


BURNOUT SYNDROMES 1stアルバム『檸檬』全曲トレーラー

 

 うまく間を空けるようなバンドになると、「君のためのMusic」あたりをインタールードにしたり、あるいは最後の「Sign」のところもインストだったり短い曲で〆たりしそうなもんですが、彼らにとってはそれじゃ意味がないのでしょうし、今の彼らがそれをやっても魅力にはならないだろうなとも思う。俺が思うに、彼らの曲で一番求心力があるのはVo.熊谷の歌で、これがあるからどんなに変なことをやっても全部BURNOUT SYNDROMESの曲になるんじゃないのかなと。だからこそ、こうして不器用にも歌を並べるような、愚直にも思えるカタチが今の彼らにとってベストなスタイルなんだと思います。これから円熟していけばそれはそれで面白いものを聴かせてくれそうだけど、好きなものを容量ギリギリまで詰めたような、足し算だらけのこのやり方のまま突っ走っていく彼らを見ていたい気もする。どちらにしても、個人的に今後がとても気になるバンドです。

 おわり。