つかずはなれず

特別なことなんて何もないよ

2017年1月のこと

 2017年になってもう一月が経ってしまって、刻一刻と就活が近づいているのが怖すぎる。そういえばはてなブログで書き始めて一年も経ったようです。今回は今月触れたモノのうちいくつかについての振り返り。

 

・音楽
 今月買った新譜は3枚、どれも感想書けたのでよかった。書いた後で(やっぱりこうだな)って思うこともしばしばですが、一度言葉にした方がそれを基点にまた考えたりできるので、やっぱり書いておきたい。
 3枚とも方向性が違って面白かったけれど、特に聴いたのはBrian the Sunの『パトスとエートス』ですかね。1曲目「Impromptu」から6曲目「Maybe」までの流れが好きです。
 旧譜も何枚か買いました。ほんとは旧譜もきちんと感想を書きたい、というか新譜ってどこまでよ、去年12月の作品は年変わったからもう旧譜か?と聞かれたらそんなことないでしょと思うし、いちいち新譜だ旧譜だってのも時々バカバカしく思えてくる今日この頃です。最近はthe pillowsの『Another morning, Another pillows』をよく聴いてる。

Another morning Another pillows

Another morning Another pillows

 

  これがすごくいいのだ。アレンジ自体はシンプルなんだけど飽きずに聴ける。アニソンみたいな展開につぐ展開とか、そういうカタルシス重視ではないぶん、すっと入ってくるのが良い。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの『GEAR BLUES』も買ったけど、こっちはそんなに聴いてない。しかし今ハマらないというのはつまり、いつかハマる可能性があるということなのだ。そういうことにしましょう。

 the pillowsといえば、東京までUNISON SQUARE GARDENthe pillowsの対バンを観に行きましたよ。本当に最高の夜でした。the pillowsのパクリ…もといリスペクトの新曲も聴けたし(音源化はあるのだろうか?)、田淵さんのthe pillowsへのリクエストがすごくコアなファンって感じで良かったし、しかもまさかthe pillowsが田淵さんをベースに招いてRide on shooting starを演るとは! 高校生の頃からずっと好きだったバンドの対バンなんて夢みたいでした。

 

・読んだもの
 竹宮ゆゆこ先生が去年のうちに文春文庫で新しく小説を出していたことを知って早速購入。『あしたはひとりにしてくれ』というタイトル。良い。

  読み終わってから、先生の作品はど真ん中を「愛」が貫いてるなぁとかなんとか考えてた。「わたしたちの田村くん」はまだふつーの青春小説という感じが否めないけれど、「とらドラ!」から今に至るまで、いろんな「愛」が作品に存在しているなぁと。恋愛、家族愛、友愛、どれも愛なのだ。そして愛は呪いにもなるし、祝福にもなる。そんな感じのことを考えておりました。あと「ゴールデンタイム」の幽霊=見えない目が今作形を変えて登場していたり、作家性というか作家のアイコン的モチーフというか、そういうものを感じた。

 あとはぼちぼち集めている小川麻衣子先生の『ひとりぼっちの地球侵略」を9巻まで購入。何より絵が可愛い。

  9巻の表紙は飛行機ということで、やはり先生がコミカライズした「とある飛空氏への追憶」を思い出します。あれは原作も漫画版も良い作品です。映画は大失敗だったと思ってるけど。

  鳳先輩がより人間らしくなっていく一方で、なにやらヤバイやつも登場。11巻まで出てるし早く次が読みたいと逸る気持ちを抑えて発表のレジュメ作ったりレポート書いたりしてます……早く来い来い春休み、いや就活始まるからやっぱり来るな。

 

・アニメ
 今期は前のクールほどワクワクしてないなぁというのが正直なところ。まあ前クールはユーフォとフリフラがあったから仕方ないっすね…。一番楽しんで見てるのは今のところ「リトルウィッチアカデミア」。テンポが良くて面白い。「小林さんちのメイドラゴン」も面白いです。しかし、あんだけ百合ドラゴンなのに俺の百合センサーがピクリとも反応しないのはなぜだろう。
 あとはパッと思いつく限りでは「政宗くんのリベンジ」「風夏」「セイレン」とラブコメばっかり。「セイレン」、絶対見るのやめるだろうなと思ってたのに、常木さんの話全部見てしまった……時々バカじゃねーのと思いながらもなんだかんだ楽しく見てた。「政宗くんのリベンジ」は大橋彩香の歌う主題歌がとてもお気に入りです。だけど話を聞くともっと面白い作品もたくさんあるようで、もしかして見る作品を間違えている……?
 「クズの本懐」は「政宗くんのリベンジ」と時間が5分だけ被ってて録画できないのと、2話のえっちゃんが花火を押し倒してるシーンを、どこかコメディっぽく描いているように見えたのがどうしても納得いかなくて見るのをやめてしまった。原作を好き過ぎるファンは面倒なやつといういい例です。

 

 明日はねごとのアルバム発売日! その数週間後にはSHISHAMOのアルバムも出るし、3月にはthe pillowsのアルバムも出ます。どれも楽しみ。その合間を縫うようにしてきのこ帝国の『愛のゆくえ』も買いたい。

 おわり。

アンテナ『天国なんて全部嘘さ』

天国なんて全部嘘さ

天国なんて全部嘘さ

 

  前作『底なしの愛』はスピッツの影響をもろに感じさせる作品だったのだけど、あれはあれで、それっぽいどころの騒ぎではない、むしろよくここまで「(みんながイメージするであろう)スピッツらしさ」をパクリと感じさせずに鳴らせるなと思うような作品でした。この書き方だと勘違いされるかもしれませんがとても褒めてます。アルペジオの感じとかが特にそうだと俺は思った。俺より長くスピッツを聴いてきた人に聴かせてみると、メロディの具合もたまにそれっぽさがあるそうな。ちなみにリードトラック「底なしの愛」は他の曲に比べるとスピッツ感は薄いけど、かわりにMVの方で主張してきてます。『三日月ロック』と『小さな生き物』のジャケットが見える…!


アンテナ「底なしの愛」Music Video

 

 そして今年1月にリリースされた『天国なんて全部嘘さ』ですが、こちらはパッと聴いた時に良くも悪くもスピッツ感がすごい、と言う風では全然なくて、「アンテナという歌モノバンド」としての個性をひしひし感じられるものでありました。

 まず「年中無休」にびっくりしたのですが、ドラムがこんなによかったんだ…!という。YouTubeで聴いた印象と全然違うなぁと思っていたらAlbum verだった。なるほどこのミックスは素晴らしい。抜けの良い乾いた音というよりは、どこか湿った、雨降りの午後のような感触でスネアが鳴っていて、これがまた曲にぴったりなのですね。時折手拍子が重なるのもすごくいい。それと、前作はギターがメインだったのに対し、今作ではがっつりシンセを用いているのですが、もう大正解ですねこれ。渡辺さんの歌に対して、シンセが絶妙な存在感で鳴っているのがすごく良くて、前作で何か足りないなぁと思っていたところを完璧に埋めてきた感じ。このドラムとシンセが全編通してすごく効いていて、インディーロック感がする!と全俺が大喜びです。インディーロックと言っても幅が広すぎてアレですけど、俺のイメージとしてはGalileo Galileiの「カンフーボーイ」や「ゴースト」がまさにそんな感じ。こんな直近の曲が例じゃ伝わらないかな…。

 他の楽器も含めて、鳴ってる音に随分説得力が増したなというのが一番の印象。(今回あまり目立った出番はないけど)ギターも「おはよう」で気持ち良いリフを鳴らすし、ベースはボトムを支えながらも全体的にかなりいい動き。でもやっぱドラムとシンセがすげえいいな…。音のまとまり具合もグッド。「歌モノバンド」と名乗るだけあり、「歌」をメインに据えるのはもちろんのこと、しかし「バンド」の部分も主張してきていて、うーん聴けば聴くほど頼もしさを感じる。

 

 そういう今作のいいところを全部詰め込んだのがリードトラック「天国なんて全部嘘さ」。どこかドリーミーな音像とシンセのリフがすごく好き。


アンテナ「天国なんて全部嘘さ」【1/18発売】

 最後に歌詞について。この曲は《天国なんて全部嘘さ》と繰り返すその先で、《生きてみよう とりあえずは》《味方だからずっと》と歌っている。天国なんて全部嘘さ、だけどアルバムを聴いていて感じた頼もしさは嘘じゃなかったと、俺はハッとした。

 例えば知らない誰かのために何かを頑張ろうとか、生きとし生けるもの全ての幸福を祈ろうだとか、実は俺はこれっぽっちも思えなくて、自分と周りの人間で精一杯なわけで。だけどそれを口にしたら残酷なやつだと言われるかもしれない。お前がそんなことを言っている間に遠くの何処かで誰かが傷ついているんだぞと。

 ならば、《命の数なんて無視して それでいいじゃない》と歌う彼らはやはり残酷か? 一方ではそうかもしれない。だけどハッキリそう歌うことで、彼らはその残酷さを背中に引き受けようとしてるのではないだろうか。《天国なんて全部嘘さ》と歌い十字架を背負いながら、同じように思っている人間を、つまり俺を、アンテナはどうしようもなく肯定しようとしてくれる。嫌なこともあるけど、人も死ぬけど、僕も君もとりあえずは生きてみよう、そうすればまた会えるよと。遠くの何処かって何処。誰かって誰。それより目の前の君。なんて「リアル」な優しさだろう。だけどそれは反面冷酷な話だというのも分かっている。大声で叫んでるわけでもないのに、歌に血が滲んでいるように思えてしまうのはきっとそれゆえだろう。あるいは、俺がそう思いたいだけかもしれないけれど。この歌の歌詞を借りれば、それでいいじゃない、だ。

 

 ちなみに俺は高校まで仙台で暮らしていたので、地元のバンドがこんなにいいアルバムを出してくれたのがまた嬉しいです。今後も応援したい。

 おわり。

Brian the Sun『パトスとエートス』

 

パトスとエートス

パトスとエートス

 

 Brian the Sunをきちんと知ったのはアニメ「僕のヒーローアカデミア」 のEDでした。疾走感のある、シンプルなギターロック。ロックというかポップというか、それはさておき。


Brian the Sun 『HEROES』Music Video

 加えて今回はメジャー1stフルらしい。そこまで考えると、アルバムの内容もなんとなく想像できそうな気がしませんか。初っ端からがっつりギター掻き鳴らしてくるのかなみたいな。まずキャッチーでノリの良い曲来るかなみたいな。そのノリで最後までいくのかなみたいな。

 

 しかしその予想は見事に裏切られることになりました。CDを再生してまず聴こえてくるのは静かに鳴るスネア、そしてエレキギターのアンニュイなサウンド。疾走感なんてカケラもないゆったりした曲がこのアルバムの始まりを告げるのです。ふつーアルバムの7,8曲目くらいにありそうな曲が1曲目なんてそんなのありか。

 それが打って変わって2,3曲目は、あんたらはArctic Monkeysか! と言いたくなるような、あの1st,2ndを彷彿とさせる性急なビートで攻めてくる。サウンド面では個人的にArctic Monkeysに軍配が上がりますけど、まあそこは好みもありましょう。物憂げな雰囲気を持ったメロディだとか、あまり鳴りすぎないけれど鋭いリフやフレーズをいいところに挟むリードギターなんかがBrian the Sunの持ち味なのかなと、ここまでの流れでなんとなく分かってきます。


Brian the Sun 『パトスとエートス』Music Video Short Ver.

 この流れで聴いてみると、ヒロアカの主題歌だった「HEROES」はあんまりリードギターが主張してこない曲だったことに気付かされます。3曲目のリードトラック「パトスとエートス」が要所要所でどの楽器もフレーズを重ねてくるような曲だったのだけど、逆に「HEROES」はびっくりするくらいシンプル。そこにまたバンド感を感じるのです。上に特徴として物憂げなメロディと書いたばっかりなのに、この曲はそれどころかカラッと爽やか。ほんとに同じバンドかよ。サビのメロディをなぞり始めるギターソロは正直ちょっとださいなと思っちゃうけど、デク(ヒロアカの主人公)がこういう王道なの好きそうだなと思うと全然許せる(オタクの感想)。続く「Cold Ash」もシンプルなギターロック。疾走感のある中に《誰かの言葉に心をやられてしまった》など内省的な歌詞が見えるのが印象的。1曲目の選曲といい、この曲を「HEROES」の後に歌うことといい、結構ひねくれてるバンドですな。

 アルバムの中で一番好きなのは次の曲「Maybe」。とにかくメロディが良いんです。この何とも言えない切なさ。是非夜に聴きたい。それと、しっとりしたリードギターもまた良いのですが、ベースの音もなかなか人間臭くて好きなのと、Bメロとサビのリズムがとにかくお気に入り。ラスサビの前にもう一度Bメロが来るのもいい。ここまではっきりとリズムを気に入るパターンは俺はなかなかないのだけど、この曲は聴くたび指でリズムとってしまう、聴いてなくても気付かないうちに同じリズムをとり始めてしまう。それくらい気に入ってます。


Brian the Sun 『Maybe』Music Video(前編)

 で、またギターロックに戻るのかなと思っていたら今度はダンサブルなピアノナンバー「アイロニックスター」と来て、お次はやけっぱちなギターリフが強烈な速い曲「Mitsuhide」。2,3曲目で見せたリフの鋭さを違った角度から投げてくるここの流れも結構好き。

 ラストはバラード。ほとんどピアノだけのこの曲が、どこまでも内省的なアルバムだったことを示すかのように最後に配置され、余韻とともにアルバムを締め括るのでした。

 メジャー1stフルだと言うのに作品として割と地味というか、思ったより力んでないなという印象を受けますが、四人で鳴らしてるところを想像できるようなバンド感はばっちりあります。ギターと歌との距離感が独特で、歌をメインに据え、ギターはおかずとして鳴っている感じが強いのが、俺の知ってる他の若手バンドとの大きな差かなぁと。リード曲も派手じゃないけどかっこいい。このアルバムを聴く限りでは、とにかくキャッチーであることや、大きな舞台でドカンと一発打ち上げることにあんまり重きを置いていなさそうな、性格としてわりと渋いバンドなのかなという風に思うのですが実際のところはどうなんですかね。それにしても「Maybe」が好きすぎて、なんかこれ聴けただけで俺は満足かもしれない。

 

 ところでパトスは「衝動」など一時的なもの、エートスは「習慣」や「性格」といった持続的なものを意味するギリシャ語なのですが、パトスとはpathosと綴りまして、これを英語で読むとペーソスとなり、「哀愁」という意味を持ちます。今回のアルバムは男性的な、角のあるパトスサイドな曲と、女性的で、丸くて柔らかいエートスサイドの曲とに分けられるとインタビューでは言っていたのだけど、ペーソスの意味を踏まえて聴いてみると、エートスサイドだと思われる曲も歌ってることはエートスというかペーソスだったし、もはやタイトルは『パトスとペーソス』が正しいんじゃないか? しかしそうであるならばアルバムは通して「pathos」を歌ってるわけだし、その姿勢がエートスであろうことを思えばやっぱり『パトスとエートス』が正しいのだ! というくだらない問答の果て、結局タイトルに納得したことをここに書いて筆を置くことにします。

 おわり。