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ねごと『ETERNALBEAT』

 

ETERNALBEAT(通常盤)

ETERNALBEAT(通常盤)

 

  前作「VISION」はバンドサウンドの中に浮遊感を感じさせるアルバムでしたが、ダンスミュージック的な、エレクトロなビートが中心となった今作の雰囲気は以前に増してスペーシー。エレクトロと言ってもその音像はどちらかと言えば柔らかくしなやかで、随分上手にポップな方へ落とし込んだなという印象を受けます。まずは「ETERNALBEAT」「アシンメトリ」の冒頭2曲で、気づけばすっかり宇宙空間に全身を委ねているような気分に。


ねごと - ETERNALBEAT [Official Music Video]

 しかしアルバムを俯瞰して見れば、エレクトロ一辺倒ではなくバンドサウンドも存分に鳴っていて、そのアプローチの多彩さには思わず舌を巻いてしまいます。前半はエレクトロを中心にクールなサウンドを展開。序盤の流れを組んだ「mellow」「君の夢」の並びではその浮遊感がピークに達して、音を聴いている自分と脳裏に浮かんだ空中を漂う自分のイメージの境界線が溶けてなくなり、トリップするような感覚すら覚えます。
 その後の「DESTINY」からの流れでは、クールさを保ちつつもバンドサウンドが目立ち始め、前半では抑えていた熱も感じられる。


ねごと - DESTINY [Official Music Video]
 そうしてエレクトロ、バンドサウンドを行き来し、自由に宇宙空間を泳ぎ踊った後は、最後の「凛夜」で星空の下を歩き、冷たい夜の空気に触れて火照った肌を冷ますのです。アルバムを一枚聴き終える頃には小さな宇宙旅行に行ったような気分にすらなっていた。終わりには地上に返してくれるところが優しい。


 俺が特に良いなと思ったのは、非常に自然にエレクトロとバンドサウンドとが混ざり合っているところ。と言っても、もともと全然エレクトロを聴いてないのであんまり偉そうなことは言えないんですけど、大げさすぎず、軽すぎず、すごく上品なサウンドプロダクションだなと思います。バランス感覚が見事。清廉とした音が鳴っていて、「PLANET」なんて耳触りがすごく気持ち良い。それでいて情報量もなかなか多く、たぶん時間を空けて聴き返さないと気付かないような音もあるのでしょうね。そういう意味でも聴き応えのあるアルバムです。

 ところで今作、iTunesでの表示されているジャンルが「Pop」でした。iTunesのジャンルなんて多くの人は気にしないでしょうし、これがどう決まってるのか俺は全く知らないんですけど、前作までのアルバムがRockなのに対し今作がPopと表示されている、それが今作を一番雄弁に物語っているように思えます。

 おわり。