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supercell『Today Is A Beautiful Day』

ディスクレビュー

 

Today Is A Beautiful Day

Today Is A Beautiful Day

 

  2011年3月にリリースされたsupercellのアルバム『Today Is A Beautiful Day』。これがリリースされたとき俺は高2で、このアルバムを聴いてる同級生が割といた覚えがある。その頃は俺はまだ音楽を色々聴いてやろうってタイプではなくて、BUMPか観たアニメの主題歌しか聴かないようなやつだったんだけど、そんな俺でもこのアルバムは友だちから借りてiPodに入れてた。ついでに化物語のことも教えてもらって全部見た。原作もちょっと読んだ。それはされおき、そんな風に俺の周りでは割と多くの人が聴いていたので、俺くらいの世代でオタク的なものに特に抵抗がない人なんかはだいたいこのアルバムを聴いたことがあって、このアルバムを思い出の一枚みたいに感じる人もそれなりにいそうだなと勝手に思っているのだけど、実際のところはどうなんだろうか。ということを、5年経った今、聴き返してみて考えてた。

 

 《いつもどおりのある日のこと 君は突然立ち上がり言った 「今夜星を見に行こう」》

 こんな歌詞で始まるなんてほんとずるい曲だ「君の知らない物語」は。すごく青春じゃないですか。それでメロディもキャッチーでボーカルもクセがなく聴きやすいときた。そりゃみんな好きになるよ。他にも天真爛漫で痛快な「ロックンロールなんですの」、ジャズ風でオシャレ大人っぽい「Feel so good」などなど色んな曲があって、このアルバム聴いた翌日にあれが好きこれがお気に入りって盛り上がることもできたでしょうよ。休み時間に「「復讐」こわくね?」みたいな会話してる高校生が目に浮かぶようだ。

 22歳となった俺は「君の知らない物語」を聴いて「こんな青春したかったな」みたいなことを思っては10代の頃を懐かしむことしかできないけど、10代のやつらは違うんですよ。彼らはこのアルバムを聴いて「こんな青春したいな」とか、「こんな青春したいなでもどうせできないなくそっリア充死ね」とか、あるいは斜め前の席の気になるあの子を思い浮かべてちょっと切なくなったり、大人になった自分のことを想像したりできるわけ。「したかった」ではなく「したい」と、過去形ではなく現在進行形の自分たちと重ねるように聴けるんですよ。ああずるい。代わってくれ。俺にもう一度10代をやらせてくれ。「ヒーロー」を聴いたとき素直に(こんなこと俺にもないかな)って思わせてくれ。たった22歳で年取ったなとか考えてる俺にも問題はありそうだけど、それはともかく、高校生とかいうどうしたって多感になる時期に、歌詞を自分と重ねて聴いた、メロディが好きでよく聴いてた、友人や好きな人に教えてもらった、それだけで思い出の一枚になり得るだろうし、この『Today Is~』はまさにそんなアルバムだったんじゃないかなと思ったわけです。

 しかし今の10代が大人(?)になったときに、我々の世代と同じようにこのアルバムを「思い出」とともに聴くかと言われたら、我々に比べたらぐっと減るだろうなとも思う。もう5年前のアルバムだし、10代にとって5年前とかきっと遥か昔だし。もちろんレンタルもあるし、聴く人もいるだろうけど、5年前のCDよりも話題の中心にあるのはやっぱり今の音楽じゃないだろうか。今だったら何なんだろうか。back numberとか? 「君の名は。」のサントラを買って自慢げにしてる子もきっといることでしょう。次の思い出のアルバムはそのへんだろうか。今高校生の間では何が流行ってるんだろう。supercellの代わりはなんだろ。ハニワ?

 

 ちなみに俺は当時『Today Is~』にあんまりハマらず「君の知らない物語」と「ロックンロールなんですの」しか聴いてなくて、今になって(思ってたよりもいいアルバムだった…)と見直したのだけど、時すでに遅しって感じが否めないのが少しかなしい。あの頃「LOVE&ROLL」でちょっとドキドキしておきたかった。それができる状況にいたのにしてなかった、というのがちょっと悔しかったりして。しかしsupercellの他のアルバムはタイトルすら知らないのに、この存在だけは強く印象に残っているというところに、俺も少なからずリアルタイムでの関わりがあったんだな、とも思う。2曲しか聴いてなかったとはいえ、その2曲は死ぬほど聴いてたし、カラオケでもまだ歌えたりするので、10代の頃に脳みそにこびりついたものってなかなか剥がれないもんですな。最近よく聴いてる曲、カラオケで入れてみたら全然歌えなかったよ。やっぱり年取ったな。

 おわり。