挫・人間『もょもと』
「リア充殺して自分も死ぬ」と毎日のように言っていた奴が、ある日「俺は俺なりに生きることにした」と言い始めた。
何の話だ。
挫・人間のアルバムの話だ。
これまでのアルバムと比べるとその変化はよく分かると思うけど、このアルバムだけでも屈折に屈折を重ねた末のポジティブさというものを感じられるのではないかと思う。
「チャーハンたべたい」、チープさのあるイントロからまさかがっつりのバンドサウンドが繰り出されるとは。ギターソロがむちゃくちゃ良いと思う。ついさっき岡村靖幸の「だいすき」を初めて聴いたのだけどなんか通ずるものがあった、気がする。
個人的に好きなのは「クズとリンゴ」。夕方五時のアニメのエンディングっぽさがあるメロディがたまらなく良い。その次に「ココ」が置かれているのにもぐっと来てしまう。私の中で「下品なSuchmos」と評判の「おしゃれメロス」はベースラインに濡れる。ていうかベースはどの曲もかっこいいので何周目かには一度そこに注目して聴いてみて欲しい。
そんで「絶望シネマで臨死」が「チャーハンたべたい」と共にMVを作られているわけだけど、これがネガティブ→ポジティブの反転を強く感じられて、ほんとリード曲に相応しい曲。このアルバムの雰囲気が、すなわち今の挫・人間がぎゅっと凝縮されている。おどろおどろしいイントロ、マシンガンのようなAメロからアニソンにも通じるサビで一気に視界が開けていく。大名曲。
と、掻い摘んで何曲か紹介したけれど、正直どれも甲乙つけがたい。歌詞について深く触れはしなかったが、そっちも良いのでCD買ったら歌詞カード読みながら聴いて欲しい。怒りや恨みつらみや悲しみを抱きしめて素直になった言葉は泣けるし強いのだ。
バラエティに富んでいて、しかもみんなふつーに良い曲で、これで良いアルバムじゃないわけがない。色んなジャンルがルーツにあるのだろうと思わされるし、そういうのを抜きにしても、躁と鬱をアクロバティックに行き来しつつもキャッチーで良い曲揃い。良い曲良い曲と連呼してるけど、つまりそれだけ良かったんです! それだけ好きなんです!
というわけでみんな挫・人間の『もょもと』(発音できない)を聴こう。耳の穴かっぽじってでかい音で聴くのがオススメ。
おわり。
雑記(2017/9/16)
時々思い出されては更新される雑記です。
自分より若くて洋楽をよく聴いてるっぽい人を何人かフォローさせてもらって、(これを機に自分も洋楽もっと聴こう~)と思いました。思っただけで結局聴いてたのは邦楽ばかりだけど。
- アーティスト: UNISON SQUARE GARDEN
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久しぶりに聴いた。「cody beats」とか「23:25」とか、ギターリフがスリーピースバンドのそれって感じで良い。やっぱり「アイラブニージュー」は名曲ですね。サンキューマイミュージック。
リリース直後は(んんん微妙???)と思っていたのですが気づいたら彼らのアルバムで一番気に入ってた。もちろん日によって変動はしますけど。去年CDJで「黄昏インザスパイ」聴いて以来、これが最後に配置されてるの最強すぎるなと思うようになった。あとはもう、「天国と地獄」のかっこよさったらないぜ。
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今年になってGRAPEVINEにハマりました。まだアルバムを全部聴ききれてはいないけど、のんびり行こうと思います。それにしてもこのアルバム最高です。私が聴いた今年リリースのアルバムで一二を争うレベル。このいつでも聴ける温度感。
メジャーレーベルの若手ではBURNOUT SYNDROMESとBrian the Sunを推しています。このアルバムはと言えば、あまりに情報過多なので普段から聴きたいとは特に思わないんだけど、それでもたまーに聴きたくなります。「エレベーターガール」とか好き。
今日通して聴いたアルバムはこれくらい。あとはスピッツの『フェイクファー』やCloud Nothingsの『Life Without Sound』をつまみつまみ聴いてた。多分明日はそれを通して聴くことでしょう。
最近は社会人になったら一日にどれくらいアルバムを聴けるんだろうか?ということをよく考える。通勤の行きと帰りと、家と。でもずっと聴いてるわけでもないだろうしなぁと思うと、やっぱり暇な大学生のうちにたくさん聴きたい。今だって卒論あるしそんなに暇じゃないはずなんだけど。
UNISON SQUARE GARDENが11月に二週連続でシングルをリリースするそうな。ユニゾンって年に何枚もシングルリリースするほど活動的だったっけ? 何はともあれ楽しみ。
時々今まで書いてきた記事の軸のブレが気になって全部消してしまいたくなるけど、また別の日に見るとそのブレも納得できたりするので結局放置してしまいます(それでも気になるものは非公開にする)。今思えば最初からルールを決めて書くべきでしたが後の祭り。
おわり。
エンドロールは余白の時間
昨日映画館で映画を観た。「パターソン」という映画である。傑作!というほどではないが,平平凡凡な生活の愛おしさや可愛らしさを感じさせる作品だった。作中に出てくる詩を嗜んでいればもっと面白かったと思う。
鬼才ジム・ジャームッシュ監督最新作『パターソン』/8月26日より公開
映画の感想はさておき,エンドロールをぼんやり眺めながら,「エンドロールは私にとって余白の時間なのだな」と思った。
黒い画面にキャストやスタッフの名前が流れていく。英語で書かれていたら読めないし,日本語で書かれていてもずらずら並んだスタッフの名前全てに目を通すのは無理だ。知り合いが一スタッフとしてクレジットされるならば目を皿にして探すかもしれないが,そんな経験はないので実際どうかは分からない。そういうわけで,私はエンドロールで流れる文字に焦点も合わさずぼんやり画面を見ていることが多い。
その間に,観ていた映画のことや,思い浮かんだ単語や,これからの予定など,とりとめのないことが頭の中に浮かんでは消える。
ノートの切れ端やメモ帳に,今考えていることを書き出してみると,書き出したことで頭の中が整理されてそのメモ自体はもう見ない,なんてことが私にはよくあるのだけど,エンドロールで言葉が浮かんでは消えていくのはそれに似ているなぁと思った。
エンドロールの最中に浮かんでくる言葉も,同じように,ノートの隅っこやチラシの裏に書いてはそのうち忘れるかなくしてしまうかする類の言葉だ。けれど,そんな風に言葉を並べることで,その映画やそれを見た自分についての考えをまとめようとするのだと思う。そして,考えがまとまったり,別の考えに移ったりする間に,浮かんだ言葉は消えていく。「パターソン」のエンドロールの最中でも何かを考えたのは覚えているが,案の定どんな言葉を並べたかはほとんど覚えていない。
その映画を観に行く前に,UNISON SQUARE GARDENの田淵さんとLiSAさんのラジオでの対談を聞いたのだけど,田淵さんはそこで曲を思いつく場面について,映画のエンドロールの最中に,言葉と一緒にメロディが浮かんでくるというようなことを話していた。エンドロールで流れている曲とは全然違う曲が頭の中で流れるらしい。それをエンドロールを眺めている最中に思い出して,ここを余白として利用しているのは私だけじゃないのかもしれない,なんてことを思ったりもした。
先ほども書いた通り,そういうノートの切れ端に並べた言葉のほとんどはすぐに忘れてしまう。忘れちゃったら意味ないじゃんと思われるかもしれないけど,そうじゃないのだ,説明できる形でなかなか残らないだけで,ちゃんと私の思考のどこかに忘れてしまった言葉は埋まっていて,それを含めて私の思考なので,忘れては意味がないなんてことはないはずなのだ。
それに,そんな風に余白で生まれた言葉が,こうして多少なりとも形を整えられて文章となることも時々はあるので,全部忘れているわけではないということで許してほしい。
最後に蛇足的なものを書いてしまったけど,結局何が言いたかったかと言うと,「エンドロールは余白の時間」って言葉,なんかちょっとかっこよくないですか?Uh-huh? ということでした。
おわり。